一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

若き力が支えるサイバー空間の安全 -「フィッシングサイト撲滅チャレンジマラソン」に挑んだ大学生の活躍-

近年、サイバー空間におけるフィッシング詐欺の被害はますます巧妙化・拡大しています。こうした状況下で注目されるのが、官民連携や地域ぐるみの防犯活動、そして将来の担い手となる若者たちの実践的な取り組みです。

その一例が、公益社団法人 日本サイバー犯罪対策センター(JC3)が主催する「フィッシングサイト撲滅チャレンジマラソン」です。この大会は、長期にわたり不正サイトを発見・通報し、閉鎖依頼を行う活動の継続性を競うものです。2025年の大会には、全国からサイバー防犯ボランティア112名が参加し、県警と連携して社会的なサイバーリスクの低減に努めました。

この大会において、福島県警のサイバー防犯ボランティアとして活動する日本大学工学部4年・木下豪さん(21)が優秀賞を受賞しました。木下さんは、前半で数日間活動できなかったものの、救済措置を活用し、後半はほぼ毎日、不正サイトの通報を継続。自発的かつ粘り強い行動が高く評価され、福島県警サイバー犯罪対策課長からも表彰されました。

表彰式では、「不正サイトは雑草のように、放置すると増え続ける。地道に、継続的に対応し続けることが何より重要だ」とのコメントが寄せられました。まさに、サイバー犯罪対策における本質を突いた言葉です。

木下さん自身も「来年こそは毎日継続し、最優秀賞を目指したい」とさらなる意欲を語っており、サイバー空間の健全性を守る取り組みが一過性ではなく、持続可能なものであることを示しています。

私たち不正対策の専門家にとっても、こうした若者の取り組みは希望であり、また学ぶべき姿勢です。不正・詐欺の防止には、技術だけでなく、社会全体の意識と協力が不可欠です。そして、将来の不正検査士やセキュリティ専門家となる若者たちが、今まさに現場で力を発揮していることは、私たちの活動にとっても大きな励みとなります。

サイバー空間の脅威が高度化するなかで、日々の小さな実践こそが、より大きな抑止力となります。当協会としても、こうした活動に敬意を表し、今後も支援・啓発を続けてまいります。

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