企業の自己保身から不正への誘因 ~コロナ禍における抑止対策の重要性~
長岡市の高級婦人服メーカー、株式会社モンエクセレが雇用調整助成金を不正に受給していたという報道がありました。このような不正行為は社会に深刻な影響を及ぼし、信頼を損ないます。不正行為を防止することは、企業のみならず社会全体の健全な発展のために必要なことです。この事例を通じて、不正の抑止と防止について考えてみましょう。
まず、企業の自己保身心理が不正への誘因になることが指摘できます。株式会社モンエクセレのように、コロナ禍による経営上の困難や競争力の低下などの状況が不正に走る一因となることが考えられます。業績の悪化や存続の危機に直面した場合、一時的な利益を得るために不正な手段を選択する企業が現れる可能性があります。企業はこのような困難な状況に直面した際に、倫理的な判断を崩さないような内部統制とコンプライアンスの徹底が求められます。
さらに、不正行為は一度許容されると蔓延する恐れもあります。株式会社モンエクセレのケースでは、不正受給分が2億8,341万4,277円にも上り、組織全体が関与していた可能性も考えられます。不正行為に手を染める人物が出てきた場合、他の従業員も同様の行動に走るリスクが生じます。そのため、企業は不正行為を未然に防ぐために、従業員教育や内部監査の強化を図る必要があります。
一方で、コロナ禍における助成金の申請や処理に関して、厚生労働省や助成金を受給する企業側にも問題がある可能性が考えられます。審査の厳格化や申請書の隅々まで精査することで、虚偽申請を未然に防ぐことが重要です。また、助成金の使途に対する適切な指導と透明性を確保することで、誤った使い道や不正受給のリスクを減らすことができるでしょう。
このような不正行為を防止するためには、以下の点に注意が必要です。
倫理とコンプライアンスの徹底:企業経営者は倫理的な経営を実践し、コンプライアンスを徹底させることが重要です。組織全体で倫理意識を高めるための教育・啓発活動が必要です。
内部統制の強化:適切な内部統制を構築し、不正行為の早期発見・防止に努めることが大切です。特に助成金の申請・処理においては、厳格な審査と監査が必要です。
透明性と公正性の確保:助成金制度の運用においては、透明性と公正性を確保することが不正防止につながります。情報公開や適切な情報提供が重要です。
罰則の厳格化:不正行為が発覚した場合には、適切な罰則を科すことで、再発防止につなげることが重要です。
不正の抑止は企業と社会の健全な発展に欠かせない要素です。コロナ禍においては企業の経営が厳しい状況にありますが、倫理を重んじ、透明性と公正性を確保することで、企業の信頼を高め、持続可能な発展を目指す姿勢が求められます。