一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

子会社における不正対策の重要性 – 事例からの教訓

長野県駒ヶ根市の建設会社「ヤマウラ」の子会社で発覚した不正支出の事案は、我々に対して子会社に対する不正対策の必要性を鮮明に示しています。この事案から学ぶべき教訓は多岐にわたり、企業が不正行為から身を守るためにはどのような対策が求められるかを考える契機となります。

透明性と監査の強化

事案の背後にある不正支出は、子会社の経理担当者によるものでした。透明性の欠如と内部監査の不十分さが不正行為を可能にしました。企業は内部統制の強化と監査体制の充実を図り、不正行為を未然に防ぐ仕組みを整えるべきです。

組織文化の構築

本事案では社員が上司の依頼で不正行為を行ったと主張しましたが、上司や関係者がこの主張を明確に否定しました。組織文化の中で倫理観と透明性を重視することが不正対策の一環です。従業員に対して倫理観を教育し、報告の仕組みを整えることが必要です。

リスク評価と監視

不正行為は長い期間にわたりましたが、早期の発見が防止につながる可能性があります。企業はリスク評価を行い、不正行為の兆候を監視する仕組みを導入すべきです。急激な資金の移動や不審な取引に警戒し、異常を早期に検知することが不正対策の一環です。

適切な制裁と説明責任

報告によれば、不正行為を行った社員は懲戒解雇されました。違法行為に対する明確な制裁は、他の社員に対して抑止力を提供します。また、本件に対する詳細と対応策をステークホルダーに説明することも重要です。透明性を維持し、信頼を築くためには説明責任が不可欠です。

この事案は子会社に対する不正対策の必要性を痛烈に教えてくれました。企業は透明性、組織文化の構築、監視、適切な制裁、説明責任など、多くの要素を組み合わせて不正行為に対抗すべきです。未然に防ぐことが最善の策であり、リスクを最小限に抑えるために積極的な対策を講じるべきです。

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