一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

不正の抑止防止における研修の重要性

群馬県で発生した東和銀行への不正融資事件が、私たちに不正の防止と抑止の必要性を思い起こさせます。この事件では、個人事業主を装った男性が、虚偽の確定申告書を提出して1千万円以上の融資金をだまし取り、その融資金が別の人物の口座に移されるという手口で6億円以上もの融資金が横領されました。

この事件は、金融機関での不正行為が発生した例の一つであり、我々にとって非常に重要な教訓を提供しています。この事件から学ぶべき最も大きな教訓は、不正行為を防ぐために金融機関や他の組織がどれだけの努力を払うべきかということです。この努力の一環として、研修の重要性が際立っています。

東和銀行の取引先の調査によると、32の取引先で融資金が流用されており、これは2人の行員の不注意によるものでした。通常、融資の審査には厳格なプロセスがあり、顧客の信用を確認し、必要な書類を審査する必要があります。しかし、2人の行員がこれらの手続きを怠ったことが、不正行為が行われる隙間を作り出しました。1人は「融資の実績をあげたい」と述べていることから、目標達成に焦点を当て、注意が欠けた可能性が考えられます。

ここで、研修がどれだけ重要かが浮かび上がります。金融機関の従業員には、不正行為の兆候を識別し、それを防ぐためのスキルが求められます。研修は、従業員にこれらのスキルを提供する手段の一つであり、不正行為のリスクを最小限に抑えるための重要な要素です。

また、研修は不正行為のみならず、倫理的な行動と透明性の向上にも役立ちます。金融機関や他の組織が不正行為に対するガイドラインと倫理規範を強調し、それを従業員に伝えることは、組織文化を構築し、不正行為を抑止する手助けとなります。

この事件は、不正行為がどれだけ大きな問題であるかを示す証拠です。不正行為を防ぐために、金融機関や他の組織は研修プログラムの充実を検討すべきです。研修を通じて、従業員は不正行為を識別し、防ぐ方法について教育を受けることができ、不正行為の未然防止に貢献できるでしょう。

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