一般社団法人 日本公認不正検査士協会

ACFE JAPAN

CFEコラム

「知的財産の脅威と企業の安全対策」

最近、東証プライム上場の大手企業である「アルプスアルパイン」からの営業秘密漏洩事件が報じられました。元社員である張天文容疑者が車載電装機器の設計データを不正に持ち出し、別の企業に転職後に逮捕されたという衝撃的な事件です。この出来事から、知的財産の脆弱性と企業が取るべき安全対策について考察してみましょう。

張容疑者は2021年11月9日に、貸与パソコンを用いてアルプスアルパインのサーバーコンピューターにアクセスし、設計データを不正に複製したとされています。このデータには膨大な営業秘密が含まれており、その取得が不正競争防止法違反として逮捕の理由となりました。

驚くべきことに、張容疑者はアルプスアルパインでの勤務中にデータへのアクセス権限を持ち、その後の転職先でもそのデータを利用しようとしたとみられています。企業のデータセキュリティを守るためには、従業員のアクセス権の管理が重要であり、今回の事件はその重要性を改めて浮き彫りにしました。

アルプスアルパインは張容疑者の退職後、内部調査を実施し、不正持ち出しの疑いが浮上した際には迅速に刑事告訴に踏み切りました。企業が自らの情報を守るためには、内部調査やセキュリティ対策が不可欠であり、アルプスアルパインのように全面的に捜査に協力する姿勢は好ましいと言えるでしょう。

この事件は企業にとって知的財産の重要性を再認識させるものです。今後、企業はセキュリティ対策の強化とともに、従業員への教育も一層重要となるでしょう。また、外部からの脅威に対しても警戒を怠らず、組織全体で情報セキュリティに対する意識を高めることが求められます。

知的財産の安全な管理は企業の信頼性と競争力に直結しています。アルプスアルパインの事件を契機に、企業は積極的にセキュリティ対策を見直し、外部からの脅威に対して常に警戒態勢を取ることが必要です。

CONTACT

入会申し込み 相談・お問い合わせ