一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

“学問と倫理の融合:学生の不正検出モデルと企業情報開示の重要性”

文京学院大学が主催する「第8回アカウンティングコンペティション2023」において、経営学部経営コミュニケーション学科 中島真澄教授ゼミからの2チームが「審査員特別賞」を受賞しました。特に「チームB」の学生が提案した「不正のトライアングル理論に依拠した不正検出モデル」には注目が集まり、その研究成果が金融機関などでの実用性を有する可能性が示されました。

「チームB」の研究では、不正のトライアングル理論に基づき、経済的インセンティブやプレッシャーだけでなく、効率性や安全性などの指標を組み合わせた不正検出モデルが提案されました。このモデルは裁量的発生高と呼ばれる残差を活用し、ロジスティック回帰分析によって製造業における高性能な会計不正の検出が可能とされました。実際にこのモデルが金融機関で与信調査に利用されれば、企業の信頼性向上に寄与するでしょう。

同時に、「チームC」の研究では、Key Audit Matters(KAM)開示がIFRS適用日本企業の財務報告に与える影響を検証しました。その結果、KAM開示が企業の裁量行動を減らす一方で、トーン・マネジメントを同時に実施していないことが示されました。これは企業の情報開示が経営者の裁量行動を透明にし、トーン・マネジメントを不要とする可能性を示唆しています。

これらの研究は単なる学問の域を超え、実務での活用性や企業の倫理的な側面にも焦点を当てています。学生たちの研究成果は、不正検出モデルや企業情報開示の進化に対する貴重な示唆を提供しており、今後の学問と企業の発展に期待が寄せられます。学問と倫理の融合が、未来の専門家の育成において重要な役割を果たすことは言うまでもありません。

参照URL:http://accocom.com/

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