「企業経営の闇に潜む『粉飾決算』:信頼と透明性の求められる時代」
2023年における「粉飾決算」関連の倒産が、企業経営における深刻な問題を浮き彫りにしました。これは、資金調達や信用維持のために手を染める「粉飾決算」が、金融機関や取引先を欺く手段として悪用されている実態を示しています。東京商工リサーチのデータによれば、これらの倒産は3年連続で11件となり、その中には「優良企業」や「老舗企業」までが含まれている厳しい現実が垣間見えます。
背景には、2016年のマイナス金利導入やコロナ禍の影響による低金利・ゼロゼロ融資などがあり、金融機関が新たな貸出先を求める中で企業が粉飾決算に走るケースが増加しています。コロナ禍においては、政府の資金繰り支援により企業は一時的に救われましたが、経済活動が再び盛り上がる中で粉飾が露呈する事例も増えています。
一方で、ゼロゼロ融資の返済ピークや物価高、人件費の上昇などが企業に資金負担をかけ、倒産企業の7割~8割が粉飾決算と指摘される状況が続いています。粉飾決算への対処には、財務諸表の経験を積んだ分析力と、企業の成長性と本質を見抜く「目利き力」が求められています。
この問題が表面化することで、企業経営においては信頼性と透明性が一層求められるようになりました。企業は単なる決算書だけでなく、業界の風評、業績の推移、そして取引実態を徹底的に把握する必要があります。また、金融機関も貸出先の信頼性をより厳格に評価し、粉飾決算のリスクを見極める仕組みの強化が不可欠です。
企業経営における透明性と信頼性の確立が、今後ますます重要となるでしょう。経済活動が活発化する中で、真に健全な企業経営を実現するためには、これらの課題に真摯に向き合い、適切な対策を講じることが不可欠です。
(※出典:東京商工リサーチ調査結果)