一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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アサヒロジスト元従業員による業務上横領事件:不正の深層と再発防止に向けて

1. 事件の概要

2023年1月から2024年5月にかけて、アサヒロジストの元従業員が、複数回にわたり、総額約1億9千9百万円の現金を横領していたことが発覚しました。具体的には、元従業員、元従業員の親族、取引関係のない第三者名義の口座へ送金する手口で不正を行っていたようです。さらに、不正行為の発覚を遅らせるために、会社の会計帳簿も改ざんしていた疑いも持たれています。

2. 事件の背景と考察

今回の事件は、単なる個人による不正行為ではなく、組織的な問題も潜んでいる可能性が指摘されています。具体的には、以下の点が考えられます。

内部統制の不備: 元従業員が複数回にわたって巨額の資金を横領できたということは、会社の内部統制が十分に機能していなかった可能性があります。例えば、権限の分離や不正検知システムなどが適切に導入されていなかった可能性が考えられます。

倫理観の欠如: 元従業員は、会社の利益よりも自身の利益を優先し、違法行為に手を染めました。これは、会社の倫理観の醸成が十分に行われていなかったことを示唆しています。

経営陣の監督責任: 今回の事件は、経営陣が内部統制や社員教育を十分に行っていなかったことを示しています。経営陣は、会社の健全な経営を担う責任者として、このような不正行為が発生しないよう、適切な監督を行う必要があります。

3. 再発防止策

今回の事件を教訓として、アサヒロジストは以下のような再発防止策を講じる必要があります。内部統制の強化: 権限の分離を徹底し、不正検知システムを導入するなど、内部統制を強化する必要があります。また、定期的に監査を実施し、内部統制の有効性を検証する必要があります。

倫理観の向上: 社員研修などを実施し、社員の倫理観を向上させる必要があります。また、会社として不正行為に対する0️⃣許容の姿勢を明確に示す必要があります。

経営陣の監督責任の明確化: 経営陣の監督責任を明確化し、内部統制や社員教育を適切に行うようにする必要があります。また、経営陣は、定期的に社員とコミュニケーションをとり、会社の状況を把握する必要があります。

4. 今後の課題

今回の事件は、アサヒロジストにとっても、日本の企業にとっても大きな痛手となりました。今後は、再発防止策をしっかりと講じ、信頼回復に努めることが重要です。また、今回の事件を教訓として、日本の企業全体で内部統制の強化や倫理観の向上に取り組む必要があるでしょう。

5. ポイント

今回の事件は、単なる個人による不正行為ではなく、組織的な問題も潜んでいる可能性がある。

再発防止策としては、内部統制の強化、倫理観の向上、経営陣の監督責任の明確化などが重要。

今回の事件を教訓として、日本の企業全体で内部統制の強化や倫理観の向上に取り組む必要がある。

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