【管理部門383人への調査結果】社内不正と内部通報の実態~マネジー調査から見えてくるもの~
株式会社MS-Japanが実施した「管理部門・士業で働く人々の『会社の不正の発見』に関する実態調査」の結果を基に、社内不正と内部通報の実態について深堀りしていきます。
調査概要と主な結果
今回の調査は、主に企業の管理部門に勤める383人を対象に、社内での不正発見経験や内部通報の実態を明らかにするものです。
内部通報窓口の設置: 企業の半数以上が内部通報窓口を設置していますが、4割弱の人は制度を信用していません。
不正発見経験: 3割の人が不正を発見した経験があり、特に内部監査や経理部門でその割合が高いです。不正内容としては、不正な取引や会計、給与の不払いなどが多く挙げられました。
内部通報: 内部通報を行った人は17.3%と少数で、多くの人が上司や同僚に相談する傾向が見られました。内部通報を行った場合でも、うやむやにされたり、不当な扱いを受けたりするケースが少なくありません。
深刻な問題:内部通報後の報復
今回の調査で最も問題視されるのは、内部通報を行った後、通報者に対して異動や降格、嫌がらせなどの不当な扱いが行われるケースがあるという点です。内部通報は、企業の不正を告発し、より良い組織へと改善するための重要な手段であるにもかかわらず、通報者が報復の恐れに怯え、声を上げられない状況は深刻です。
なぜ内部通報は難しいのか?
内部通報が難しい背景には、以下の要因が考えられます。
報復への恐れ: 前述の通り、内部通報を行ったことで、職場での立場が悪化したり、キャリアに悪影響が出たりすることを恐れる人が多いです。
組織への忠誠心: 組織の一員として、不正を外部に漏らすことに抵抗を感じる人もいます。
手続きの煩雑さ: 内部通報の手続きが複雑で、時間がかかる場合、通報をためらう人もいます。
匿名性の担保: 匿名で通報できる仕組みが不十分な場合、身バレを恐れて通報できない人もいます。
内部通報制度の改善点
今回の調査結果を踏まえ、内部通報制度をより効果的に機能させるためには、以下の改善が求められます。
匿名性と機密性の確保: 通報者が安心して声を上げられるよう、匿名での通報を可能にし、個人情報が漏れないよう厳重な管理体制を築く必要があります。
迅速かつ公平な調査: 通報内容を迅速かつ公平に調査し、結果を当事者にフィードバックする必要があります。
報復防止策の強化: 通報者に対する報復行為を厳しく禁止し、違反した場合には厳正な処分を行う必要があります。
通報窓口の周知徹底: 全従業員に対して、内部通報窓口の存在と、通報した場合の保護措置について周知徹底する必要があります。
相談体制の強化: 通報前に相談できる窓口を設置したり、外部の専門機関と連携したりすることで、従業員が気軽に相談できる環境を整える必要があります。
企業と社会全体の取り組み
内部通報制度の改善は、企業単独の努力だけでは実現できません。社会全体として、不正を許容せず、内部通報者を保護する風土を醸成していく必要があります。
法整備の強化: 公益通報者保護法のさらなる強化や、新たな法整備を進める必要があります。
企業の社会的責任: 企業は、社会的責任を果たす一環として、内部通報制度の充実を図る必要があります。
教育の重要性: 学校教育や企業研修を通じて、不正に対する意識を高め、内部通報の重要性を理解させる必要があります。
まとめ
今回の調査結果は、日本の企業における内部通報の実態が決して楽観視できないことを示しています。不正を放置することは、企業の信頼を失墜させ、社会全体の損失につながります。内部通報制度の改善は、企業の健全な発展と、より良い社会の実現のために不可欠です。
株式会社MS-Japanの調査結果の詳細については、以下のリンクをご参照ください。