一般社団法人 日本公認不正検査士協会

ACFE JAPAN

CFEコラム

医療現場における不正請求:患者からの告発が暴いた闇

東海北陸厚生局が発表した歯科医院の不正請求事件は、医療現場における不正行為の実態を改めて浮き彫りにしました。患者からの告発がなければ、この不正は闇に葬られていたかもしれません。医療費の不正請求は、この歯科医院に限らず、残念ながら医療福祉の現場では後を絶ちません。

なぜこのような不正行為が繰り返されるのでしょうか。

不正行為の背景には、様々な要因が考えられます。

経営状況: 医療機関の経営が厳しく、収入を増やすために不正に手を染めるケースがある。

医療従事者の意識: 倫理観の低下や、不正行為に対する意識の薄れが原因となる場合もある。

制度の抜け穴: 制度の複雑さや、抜け穴を悪用した不正行為が横行する。

監督体制の不備: 監督機関の監査が不十分であることや、通報体制が整備されていないことが原因となる。

これらの要因が複雑に絡み合い、不正行為を生み出しているのです。

患者が安心して医療機関を利用するためには、以下の点に注意する必要があります。

医療機関の選び方: 医療機関の評判や、医師の経歴などをよく調べてから受診する。

医療費の明細書: 診療内容と照らし合わせて、明細書を確認する。

疑問点は医師に質問する: 疑問に思ったことは、医師に遠慮なく質問する。

不正行為を見つけた場合は、通報する: 匿名でも通報できる窓口を利用する。

医療機関に対しても、患者との信頼関係を築き、透明性の高い医療を提供することが求められます。

不正行為を防止するためには、以下の対策が不可欠です。

監査体制の強化: 定期的な監査の実施や、抜き打ち検査の導入。

懲戒処分の厳格化: 不正行為が発覚した場合、厳格な処分を行う。

医療従事者への倫理教育の徹底: 入職時だけでなく、定期的な倫理教育の実施。

患者への情報公開: 医療費の明細書を分かりやすく説明するなど、患者への情報公開を徹底する。

匿名での通報窓口の設置: 患者が安心して不正行為を報告できる環境を整える。

医療福祉分野における不正行為は、患者だけでなく、社会全体の信頼を損なう深刻な問題です。不正行為を根絶するためには、関係者全員が協力して取り組む必要があります。

患者は、医療機関を選ぶ際に注意を払い、不正行為を見つけた場合は積極的に通報する。医療機関は、透明性の高い医療を提供し、患者との信頼関係を築く。そして、国や自治体は、より厳格な監督体制を構築し、不正行為を未然に防ぐための対策を講じる。

これらの取り組みを通じて、医療現場における不正行為をなくし、患者が安心して医療を受けられる社会を実現することが重要です。

CONTACT

入会申し込み 相談・お問い合わせ