一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

「保育所不正問題から見える自治体監督の課題」

最近、東京都と杉並区の一連の保育所不正問題が表面化しています。これらの出来事は、監督体制の強化とその必要性について再考させられる機会と言えます。

保育所不正問題は、不正行為が組織内で広がりやすい現象の一例です。このような事案は、不正の抑止と監督体制の強化がますます重要となる時代において、私たちに多くの教訓をもたらしています。以下は、不正の抑止と監督の観点からの考察です。

まず、不正行為を防ぐためには、透明性と説明責任が不可欠です。保育所などの運営会社は、都や区などの自治体との事前協議に基づいて資金を受け取ります。しかし、事前に協議した額を超えて本部経費に流用するような不正行為が行われると、監督当局に気付かれにくくなります。ここで、透明な会計と支出の報告が求められます。組織内部でも、不正行為を防ぐ文化を醸成し、従業員に説明責任を徹底させることが重要です。

次に、監督体制の強化が不可欠です。自治体の監督担当者は、保育所の適切な運営を確保するために、児童福祉法や子ども・子育て支援法に基づく検査を行います。しかし、監督担当者の人員が不足している場合、不正行為を見逃す可能性が高まります。自治体は、監査のための専門家を増員し、検査の徹底を図るべきです。また、不正行為を通報しやすい仕組みを整え、告発者を保護する制度を整備することも考慮すべきです。

不正の抑止と監督の強化は、組織や社会全体の信頼性を高めるために不可欠な要素です。保育所不正問題から得られる教訓は、透明性、説明責任、監督体制の強化、外部監査機関の活用など、多くの方策を示唆しています。不正行為の未然防止と摘発、そして、どもたちの未来を守るために、この問題を真剣に取り組むべきだと考えます。

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