一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

「循環取引詐欺:信頼の崩壊から学ぶ重要な教訓」

東京産業の元社員が約37億円もの巨額詐欺を行った事件が発覚し、会社としての信頼性に大きな影響を与えました。この事件から、企業や組織における内部管理とコンプライアンスの重要性について学ぶべき教訓が多くあります。

まず、この事件は「循環取引」と呼ばれる手法を使用していたことが明らかになりました。この手法は、帳簿上で架空の取引を繰り返すことで、資金をだまし取る手口です。組織内での厳格な監査や内部統制が不十分であれば、このような不正が長期間にわたって行われる可能性が高まります。したがって、内部管理体制の強化と監査の徹底が不可欠です。

さらに、税務調査によって不正が指摘され、内部調査が実施されたものの、不正行為が発覚するまでに時間がかかりました。早期に不正を発見し、適切な対処を行うことが重要です。組織内での告発制度や不正行為の早期発見に向けたトレーニングが必要です。

東京産業はこの事件を受けて、全面的な協力姿勢を示し、内部管理体制とコンプライアンス教育の強化を誓っています。しかし、信頼を回復するには時間がかかるでしょう。他の企業や組織にとっても、この事件は警鐘となり、内部統制とコンプライアンスの強化がますます重要となります。

最後に、組織における誠実さと透明性は信頼を築く基盤です。社員に対する倫理的な教育と倫理規定の徹底が、不正行為の防止に寄与します。この事件から得られる最も大切な教訓は、信頼の構築は容易ではないが、信頼を失うことは非常に簡単であるということです。

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