「NHKのネット業務と衛星放送の課題」
NHKが事業として認められていない衛星放送番組のインターネット配信に関連して、2023年度予算に約9億円が計上されていたことが明らかになりました。予算は国会で承認された後、内部の指摘によって取り消されました。
放送法では、放送がNHKの必須業務とされ、ネットは放送を補完する任意業務とされています。ネット業務の内容や範囲は総務相の認可などを必要とする規則で定められています。NHKのネット配信サービス「NHKプラス」は地上波に限られており、衛星放送は認められていません。衛星放送の番組をネット配信する場合、規則の変更が必要になります。
しかし、NHKは規則を変更せず、2024年4月から衛星放送の番組のネット配信を行う前提で、2023年度予算案に技術的な開発費を含む約9億円を計上しました。予算案はNHKの最高意思決定機関である経営委員会の議決を経て、3月末に国会で承認されました。
NHKのネット業務に関しては、総務省の作業部会で有識者による議論が続いています。また、NHKはガバナンス(企業統治)のあり方を検証するために外部の作業チームを発足させ、再発防止策を講じる方針です。
NHKのネット業務と衛星放送の関連において、以下の点について注意を喚起する必要があると考えます。
1.放送法に基づく規則の遵守: NHKは放送法に従い、衛星放送番組のネット配信に関する規則の変更手続きを行うべきです。適切な手続きを経て、法的な要件を満たすことが重要です。
2.予算の適正な計上: NHKの予算案には、衛星放送番組のネット配信に関連する費用が計上されていたことが問題とされました。公正な予算編成と財務管理を行うためには、適切な調査と審査が必要です。
3.ガバナンスの強化: NHKは外部の作業チームを発足させ、ガバナンスのあり方を検証すると発表しました。この検証においては、公正性、透明性、責任制に基づく運営体制の確立が重要です。不正や違反の再発防止策の策定と実施も不可欠です。
4.関係機関との連携: NHKは総務省の作業部会で議論が行われている中、適切な意見交換と協力関係を構築することが重要です。放送法や関連規制に基づき、適切なネット業務の範囲や方法を検討し、必要な変更を行うべきです。
5.公正な情報発信: NHKは衛星放送番組のネット配信について適切な情報を提供する責任があります。視聴者や関係者に対して、ネット業務の範囲や制約、規則変更の進捗状況などを明確に伝えることが求められます。
適切なガバナンスの確立と不正防止策の徹底を求めるとともに、透明性と公正性を重視した運営を期待します。衛星放送のネット配信に関する課題は、法的な規則や関係機関との協力を通じて解決していくべきだと考えます。