カナデビアのデータ改ざん問題から考える、組織風土と過去の教訓:三菱自、東洋ゴムの事例をふまえて
旧日立造船の子会社2社が社名を「カナデビア」に変更して間もない中、船舶用エンジンの測定データ改ざんという不祥事が発覚しました。燃費性能の不正は1980年代から、窒素酸化物放出量のデータ改ざんはより最近から常態化していたという調査報告は、組織の根深い問題を浮き彫りにしています。
この問題は、過去に三菱自動車や東洋ゴムで起きた不正事件と多くの共通点を持っています。
繰り返される不正の根源:組織風土の問題
三菱自動車は燃費データ不正問題で、組織的な隠蔽体質が批判されました。東洋ゴムは免振ゴムの性能データ偽装で、品質よりも納期を優先する企業文化が問題視されました。今回のカナデビアのケースも、経営トップによる不正の黙認が「不正の常態化」を決定づけたと報告されており、組織風土の問題が不正の温床となっていることは明らかです。
これらの事件から学べる教訓は、社名変更や一時的な対策だけでは組織風土は変わらないということです。経営トップが率先して倫理観を高め、透明性の高い組織文化を醸成する必要があります。また、内部通報制度を形骸化させず、不正を早期に発見できる仕組みづくりも不可欠です。
信頼回復への道のりは遠い
カナデビアは再発防止策として、データの自動計測や記録、組織風土改革に取り組むとしていますが、信頼回復への道のりは険しいと言わざるを得ません。過去の不正事件を起こした企業が、抜本的な改革を成し遂げ、信頼を回復するには長い時間と努力が必要です。
今回の事件は、日本の製造業全体に警鐘を鳴らすものです。技術力だけでなく、倫理観と透明性のある組織運営が、企業の持続的な成長には不可欠であることを改めて認識する必要があります。