一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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内部監査の重要性と信頼の再構築―伊那市JA上伊那の不正事件から学ぶべきこと

近年、企業や組織における不正事件が後を絶たず、その多くは内部の信頼関係が揺らぐ出来事として報道されています。この度、伊那市のJA上伊那で発覚した不正事件もその一例です。職員8人が工具など231万円余りを不正に購入し、私的に使用したという問題が表面化しました。

この事件から私たちが学ぶべき重要なポイントは、内部監査の重要性と信頼の再構築です。内部監査は、組織内部の業務や財務に対して公正な立場から監査を行う仕組みです。JA上伊那のような事件は、内部監査が不十分だったことが一因と考えられます。

まず、組織が不正に対して厳格な姿勢を示すことが重要です。JA上伊那は不正を発見した際、懲戒解雇や懲戒処分を行う姿勢を示しましたが、さらなる再発防止に向けて、内部監査の強化も検討するとのコメントがあります。内部監査の担当者は独立性が求められ、公正な立場から組織の活動を監査することが必要です。

次に、信頼の再構築が欠かせません。組合員やステークホルダーは、組織に対して信頼を置いています。不正事件が明るみに出ると、その信頼は揺らぎ、回復には時間を要します。JA上伊那が全額弁済される見通しであると伝えたことも、信頼の再構築に向けた重要なステップです。

最後に、内部監査の継続的な改善が必要です。組織は常に環境が変化しているため、一度の強化だけで十分ではありません。定期的な内部監査を実施し、不正のリスクを最小限に抑えることが大切です。また、従業員に対して倫理的な行動の重要性を啓発するトレーニングも効果的です。

JA上伊那の事件は、私たちに内部監査の重要性と信頼の再構築の大切さを再認識させるものでした。組織全体が協力し、公正な姿勢で問題に対処することで、再発防止に向けた一歩を踏み出すことができるでしょう。

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