一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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内部通報の課題と透明性 – 企業が学ぶべき教訓

内部通報は、企業の組織文化や透明性を評価する上で非常に重要な要素です。しかし、最近のビッグモーターの保険金不正請求問題を通じて、内部通報の課題と企業の透明性に対する影響が浮き彫りになりました。この出来事から得られる教訓を見てみましょう。

  1. 内部通報制度の認知度 多くの企業が内部通報制度を設置していますが、それが社員に認知されていないケースがあることが示唆されました。制度を設けるだけでなく、社員に対してその存在を明確に伝え、利用を奨励する仕組みが必要です。内部通報は問題を早期に発見するための貴重な手段であり、社員が安心して活用できるようにするべきです。
  2. 相談窓口の整備 内部通報の内容には多様性があり、組織不正の告発と個人的な相談などがあります。これらを区別し、適切な相談窓口を設けることが重要です。現状、すべての相談を一元化している企業が多いようですが、組織不正に関する通報を重要視し、特別な対応をする必要があります。
  3. 通報内容の把握 内部通報に対する企業の理解が不足している場合があります。通報が組織不正に関するものか、個人的な問題なのかを把握し、適切な対処を行うことが必要です。透明性のある内部通報体制は、不正行為の早期発見と防止に不可欠です。
  4. 外部窓口の存在 内部通報窓口は、社員が利用しやすく、秘匿性が高く、企業による干渉の可能性が低い外部窓口が望ましいとされています。しかし、多くの企業が国内には設置していても海外には設置していないことが指摘されました。海外展開している企業は、特にこの点に留意する必要があります。
  5. 情報公開の重要性 投資家やステークホルダーの信頼を築くために、内部通報に関する情報公開が重要です。内部通報の件数だけでなく、組織不正への対応やその結果も透明に公表することで、企業の透明性が高まり、投資家の信頼を獲得できます。

ビッグモーターの事例を通じて、企業は内部通報制度の再点検と透明性の向上に取り組む必要があります。内部通報は企業の健全性を確保し、不正行為を未然に防ぐための貴重なツールです。透明性を高め、社員と投資家に信頼感を提供することが、持続可能な経営に不可欠です。

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