一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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第一四半期と不正防止:内部統制における第一ラインの重要性

はじめに

近年、企業における不正行為は深刻化しており、経営基盤を揺るがす重大なリスクとなっています。特に、第一四半期は決算に向けて業務量が多くなり、不正行為が発生しやすい時期と言われています。

本稿では、第一四半期と不正防止の関係性について考察し、内部統制における第一ラインの重要性について解説します。

第一四半期と不正防止の関係性

第一四半期は、年度の締めくくりとなる重要な時期であり、多くの企業が業績目標の達成に向けてプレッシャーを感じています。そのため、粉飾決算などの不正行為が発生しやすい環境と言えます。

具体的には、以下のような要因が考えられます。

  • 業績プレッシャー: 年間目標達成のために、不正な手段で利益を水増ししようとする誘惑が生じやすい。
  • 業務量の増加: 決算業務の集中により、内部統制が疎かになりやすい。
  • 人材不足: 一時的な人員不足により、本来実施すべきチェック作業が漏れてしまう。

内部統制における第一ラインの重要性

不正行為を防ぐためには、内部統制の強化が不可欠です。内部統制において、第一ラインは特に重要な役割を担っています。

第一ラインとは、日常業務に携わる従業員のことを指します。具体的には、営業、経理、生産などの部門における担当者が該当します。

第一ラインは、不正行為の兆候をいち早く発見し、報告する責任を負っています。そのため、以下のような能力を身につけることが重要です。

  • 不正行為に対する倫理観: 不正行為は許されないものであるという認識を持つ。
  • リスクへの感度: 不正行為が発生するリスクを察知する能力を持つ。
  • 内部統制に関する知識: 内部統制の仕組みや役割を理解する。
  • 報告する勇気: 不正行為を発見した場合、上司や監査役などに躊躇なく報告する。

まとめ

第一四半期は不正行為が発生しやすい時期であることを認識し、内部統制を強化することが重要です。特に、第一ラインの従業員に対して、不正行為に対する意識啓発や研修を行い、不正行為の早期発見・報告体制を整備する必要があります。

企業経営者は、第一ラインの重要性を理解し、必要なサポートを行うことで、不正行為のない健全な経営を実現することが求められます。

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