一般社団法人 日本公認不正検査士協会

ACFE JAPAN

CFEコラム

米国司法省の通報報奨パイロットプログラムが日本企業にもたらす影響

米国司法省が開始した通報報奨パイロットプログラムは、日本企業にとっても見過ごせない動きです。このプログラムは、米国における企業犯罪に対する監視の目を厳しくし、企業のコンプライアンス体制に大きな影響を与える可能性を秘めています。本コラムでは、このプログラムが日本企業にどのような影響を与えるのか、そして、日本企業がどのように対応すべきかについて考察します。

日本企業への影響

コンプライアンス体制の強化が急務に

このプログラムは、企業内部の不正行為を内部告発し、その情報が司法当局に提供されることを奨励します。日本企業においても、従業員による内部告発が増加する可能性が高まり、コンプライアンス体制の整備がこれまで以上に重要となります。特に、海外子会社を含むグローバルな事業展開を行う企業は、米国の法規制に準拠した厳格なコンプライアンス体制を構築する必要があります。

内部通報制度の見直し

内部通報制度は、企業のコンプライアンス体制の中心的な役割を担います。このプログラムを機に、日本企業は、内部通報制度が匿名性や報復防止措置を十分に確保しているか、また、従業員が安心して通報できる環境が整っているかを改めて見直す必要があります。

法務部門の役割増大

法務部門は、コンプライアンス体制の構築・運用において、ますます重要な役割を担うことになります。法務部門は、内部通報対応、外部弁護士との連携、司法当局との交渉など、幅広い業務に対応できる体制を構築する必要があります。

経営層の意識改革

コンプライアンスは、法務部門だけの問題ではなく、経営層が率先して取り組むべき課題です。経営層は、コンプライアンスの重要性を認識し、社内にコンプライアンス意識を浸透させるための取り組みを強化する必要があります。

日本企業が取るべき対策

コンプライアンス体制の点検と強化

内部通報制度の整備・運用状況の点検

海外子会社を含むグローバルなコンプライアンス体制の構築

従業員へのコンプライアンス教育の強化

法務部門の体制強化

内部調査能力の強化

内部告発を受けた場合、迅速かつ適切な内部調査を行うことが重要です。内部調査能力の強化のため、外部専門家との連携を検討することも有効です。

経営層のコミットメント

経営層は、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、社内にそのメッセージを明確に発信する必要があります。

法務部門と経営層の連携強化

法務部門は、経営層に対して、コンプライアンスに関するリスクや課題を的確に報告し、適切な対策を提案する必要があります。経営層は、法務部門の意見を尊重し、意思決定に反映させる必要があります。

まとめ

米国司法省の通報報奨パイロットプログラムは、企業のコンプライアンス体制に対する意識を大きく変える可能性を秘めています。日本企業は、このプログラムを機に、自社のコンプライアンス体制を点検し、強化するための取り組みを加速させる必要があります。コンプライアンスは、企業の長期的な成長と持続可能性を確保するために不可欠な要素です。

CONTACT

入会申し込み 相談・お問い合わせ