一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

組織改革への道—東京女子医大の不正問題とガバナンスの再構築

東京女子医大(東京都新宿区)で発生した同窓会組織を巡る不正支出疑惑が、大きな波紋を広げています。この問題に端を発し、岩本絹子前理事長が解任され、その後、大学の全役職からも解任されるに至りました。これは、同大学がガバナンス体制の欠如に対する厳しい批判を受けた結果であり、組織全体の透明性や信頼性が問われる重大な局面に立たされています。

この解任劇は、大学の管理運営体制がいかに不安定であったかを如実に示しており、組織の信頼回復に向けた緊急の対応が必要であることを浮き彫りにしました。そのため、東京女子医大は「新生東京女子医科大学のための諮問委員会」を設置し、企業再生や組織改革の経験を持つ外部有識者らを招き、管理運営体制の抜本的見直しを図るとしています。

この諮問委員会の設置は、大学がガバナンスの強化と組織の正常化に向けて真剣に取り組む姿勢を示すものです。しかし、単なる形式的な改革ではなく、実質的な改善が求められます。過去の失敗を繰り返さないためには、透明性の確保や内部監査の徹底、意思決定プロセスの明確化など、具体的な施策が必要です。

さらに、ガバナンス体制の再構築には、内部の人材育成や意識改革も不可欠です。組織全体が一丸となり、健全なガバナンスの文化を根付かせる努力が求められます。これにより、信頼を取り戻し、未来に向けた持続可能な運営が可能となるでしょう。

今回の事例は、教育機関におけるガバナンスの重要性を改めて認識させるものとなりました。東京女子医大が真に新生するためには、外部有識者の助言を受け入れつつ、自らの改革を進める強い意志と実行力が不可欠だと考えます。

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