一般社団法人 日本公認不正検査士協会

ACFE JAPAN

CFEコラム

経営者に求められる倫理観と責任 ― 不正なアカウント作成事件から考える

最近、会社役員が定額制サービスに架空の名義で申し込み、不正にアカウントを作成したとして逮捕されたという報道がありました。容疑者は、自身が運営するブログに掲載された広告から申し込みがあるたびに報酬を得る仕組みを利用していたとされています。

この事件は、単なる名義の不正使用にとどまらず、経営者という立場にある人間が主導して行った点に、大きな問題があります。企業経営者には、単に利益を上げるだけでなく、社会的責任や法令遵守、そしてなにより倫理的な行動が求められます。

従業員に対して架空の情報で申し込みを行わせる行為は、企業風土そのものを損なうだけでなく、従業員の倫理観にも悪影響を及ぼします。リーダーの姿勢は、組織全体の価値観や行動様式に直結するため、経営者こそが誠実さを体現する存在でなければなりません。

また、今回のように個人報酬を得るために不正をはたらくという構図は、経営と私利私欲の区別が曖昧になっていることを示しています。企業活動におけるすべての行動は、社会の信頼の上に成り立っています。不正行為は、その信頼を根底から揺るがす行為です。

公認不正検査士(CFE)は、このような不正の兆候を早期に察知し、未然に防ぐための知識と技能を備えています。経営者自身がCFEと協働することで、コンプライアンス体制の強化や健全な企業文化の醸成につながります。

私たちACFE JAPANは、経営者の倫理的判断力と社会的責任の重要性を再確認するとともに、不正のない健全な経営を支援する仕組みの構築をこれからも推進してまいります。

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