一般社団法人 日本公認不正検査士協会

ACFE JAPAN

CFEコラム

AI(人工知能)は現代社会においてますます重要な存在となっています。

AI(人工知能)は現代社会においてますます重要な存在となっています。AIを導入することで、業務の効率化や生産性の向上などのメリットがある一方、様々なリスクが存在します。その中でも、AIによる不正行為の発生が問題視されています。このようなリスクを回避するため、2021年に経済産業省が公表した「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」があります。

このガイドラインは、AIを導入する企業が遵守すべきルールやガイドラインをまとめたもので、CFEの観点から、AIに関するガバナンスについて考えてみたいと思います。

まず、AIによって行われる決定には、アルゴリズムによる偏りが生じる可能性があります。つまり、AIが学習したデータに偏りがある場合、その偏りがAIに反映され、不正行為を引き起こす可能性があるということです。この問題を回避するためには、AIの開発・運用においては、公正かつ中立的な立場から進める必要があります。また、AIの学習に用いられるデータについても、適切に収集・管理することが必要です。

次に、AIによって行われる決定の透明性も重要な問題です。AIが行う決定が透明であることによって、その正当性を保証することができます。透明性を確保するためには、AIの開発者や運用者が、AIがどのように判断を下しているのかを明確に説明し、説明責任を果たす必要があります。また、AIによる決定が不適切であった場合には、適切な救済措置を取ることが求められます。

最後に、AIによって行われる決定の責任問題も重要な問題です。AIが行う決定によって、被害を受けた場合、その責任はAIの開発者や運用者に帰属するのか、それともAI自体に責任があるのか、という問題が生じます。この問題を解決するためには、AIの開発者や運用者が、AIの潜在するリスクを適切に評価し、それに応じた責任を明確にすることが必要です。また、AIの決定が重要な影響を与える場合には、人間が最終的な判断を下すことが求められます。

以上のように、AIの導入には様々なリスクが存在します。公認不正検査士として、AIのガバナンスについて考える際には、アルゴリズムの偏りや透明性、責任問題などを適切に評価し、その問題に対する解決策を提供することが求められます。また、AIの導入にあたっては、AIの利用目的や範囲を明確にすることが重要です。AIを適切に活用することで、企業の業務の効率化や生産性の向上に貢献することができますが、その運用には慎重な対応が必要となることを忘れてはならないと思います。

CONTACT

入会申し込み 相談・お問い合わせ