一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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日野自動車の再発防止策進捗報告書から見る企業の信頼回復への道

日野自動車が20年以上にわたりエンジンの排出ガスや燃費に関する認証申請において不正が行われていたとの品質不正が発覚し、国土交通省から是正命令を受けるという事態に直面しています。この問題が浮上して以来、日野自動車は再発防止策の進捗状況を公に報告しています。以下はその四半期報告書の内容から見えてくるポイントです。

1. 信頼の回復への強い意志

報告書の冒頭で日野自動車は、不正問題が顕在化したことに深い反省の意を示しています。お客様を含むすべてのステークホルダーの信頼を失ったことを認め、再発防止策を通じてこのような問題が二度と発生しないようにするために全力で取り組む姿勢をアピールしています。

2. 「3つの改革」に向けた具体的な取り組み

報告書では、昨年10月に提出された再発防止策に加え、「3つの改革」を進めるとしています。具体的な進捗として、組織風土改革、開発部門の業務実施体制の改善、社内の技術管理体制の再構築が挙げられています。これらの改革は、不正問題の根本原因に対処し、将来的な信頼性を確立するためのものです。

3. ISO認証の取得と監視体制の強化

型式指定申請体制に関する再発防止策の一環として、ISO9001認証の取得を目指すことが明記されています。また、外部監査や内部監査員の教育、ISO文書の全社公開など、監視・牽制体制の確立と実効性向上に向けた努力が紹介されています。

4. コミュニケーションと風土改革

報告書では経営層が一体となって改革に取り組む姿勢や、若手層との双方向コミュニケーションの促進が強調されています。また、ハラスメント研修や社内の展示施設を通じた社員のコンプライアンス意識の向上など、企業風土の抜本的な改革に焦点が当てられています。

5. 今後の展望

最後に、今後の予定が示されています。再発防止策の進捗状況は外部法律事務所の確認や経営会議での審議を経て、次回の12月末時点で再び国土交通省に報告される予定です。

この報告書を通じて、日野自動車が課題に真摯に向き合い、透明性と説明責任を果たしつつ、再び信頼を築いていくための取り組みを進めていることが伝わります。企業のリーダーシップと従業員の協力が不可欠であり、今後の進展が注目されます。

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