一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

「心理学的実験から企業倫理への考察:スタンフォード監獄実験を通して」

1971年にスタンフォード大学で行われた監獄実験は、人間の行動における権威や環境の影響を明らかにする重要な実験です。この実験から得られた洞察は、企業における不正行為の理解と予防にも大きな示唆を与えています。

実験では、被験者を「刑務所の囚人」と「看守」に分け、シミュレートされた監獄環境での行動を観察しました。驚くべきことに、短期間の内に、看守たちは権力を乱用し、囚人たちは抑圧され、精神的苦痛を受けました。この実験は、環境が人々の行動に与える影響を強く示唆しました。

企業においても同様の現象が起こり得ます。組織文化や上司の指示などの環境要因が、個々の従業員の行動を大きく左右することがあります。組織が不正行為に対して寛容であるか、あるいは厳格であるかによって、従業員のモラルや行動が変わることが考えられます。

このような観点から、企業は不正行為を防ぐために、透明性や倫理観を重視し、適切な監督や教育を行う必要があります。また、組織内での権限や責任の分担、不正行為の報告プロセスの整備なども重要です。スタンフォード監獄実験の教訓を生かし、企業が持続可能な倫理的な文化を築くための努力が求められています。

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