一般社団法人 日本公認不正検査士協会

ACFE JAPAN

CFEコラム

「福利厚生ポイント不正使用事件から見える企業の内部統制の課題」

概要: IT関連企業で勤務する容疑者が、福利厚生ポイントを不正に自身に付与し、賭け事やカジノに使用した事件が発覚しました。企業内の福利厚生制度を悪用した内部不正の例として注目されています。

この度の逮捕事件は、企業の福利厚生サービスを不正に利用した背任行為の明るみに出たものとなります。一般的に、福利厚生サービスは社員の働きやすさやモチベーション維持に役立つ重要な制度の一つです。しかし、その仕組みを悪用して不正を行うケースがあることは極めて憂慮すべき事案です。

この事件が浮き彫りにしたのは、企業の内部統制の不備です。福利厚生会社のポイント付与権限を持つ従業員が、自らに不正にポイントを付与し、それを金券に換金するという行為は、内部統制の甘さが許してしまったものです。権限の濫用や監督体制の不備が、企業資産を不正に流用する手段を容易にし、これが結果的に企業に大きな損害をもたらします。

このような不正行為が発生すると、企業の信頼性や信用力が失墜し、業界全体に悪影響を及ぼす可能性があります。また、法的な責任だけでなく、企業のブランド価値や従業員のモラルにも大きな影響を与えます。したがって、企業は内部統制の強化に注力し、権限の委譲や監督体制の見直し、従業員教育の充実などを行うことが不可欠です。

さらに、透明性と説明責任を高めるためには、適切な監査機関や監査役の配置も重要です。組織全体での倫理観の向上と内部統制の強化を通じて、このような不正行為の再発を防ぐ努力が求められます。企業は、リスクを最小限に抑え、持続可能な成長を遂げるために、内部統制を確立し、不正行為に対するゼロトレランスの姿勢を貫くべきでだと考えます。

CONTACT

入会申し込み 相談・お問い合わせ