一般社団法人 日本公認不正検査士協会

ACFE JAPAN

CFEコラム

デジタル時代の知的財産権保護の新たな一歩

デジタル時代の到来に伴い、知的財産権の保護に関するルールが2024年4月から改正されることが決定されました。この法改正により、他社商品のコピーを禁止する枠組みが拡大し、リアル空間だけでなくメタバースなどのデジタル空間での商取引も対象となることで、知的財産の保護が一層強化される見通しです。

この改正は、知的財産分野におけるデジタル化や国際化などの環境変化に対応するために行われました。特に注目すべきは、デジタル空間での商取引が日常化する中で、これまで追いついていなかった商品のアイデアやデータを守る制度枠組みの整備です。

今回の改正で注目すべきポイントの1つは、「形態模倣行為」の範囲拡大です。従来の制度ではデジタル空間での行為について十分な規制がなされておらず、商品の形態を模倣して類似商品を提供する行為が法的に制約されていませんでした。しかし、今回の改正でこのような行為も法令に抵触する可能性があり、知的財産の保護がさらに強化されることになります。

また、法改正により、営業秘密と限定提供データという2つの制度の重複が解消されます。これまで両制度の間に生じていた矛盾を防ぐために、改正によって保護対象についての例外規定が見直されることになりました。これにより、知的財産の保護がより一層強化され、企業や個人の創造性と革新性が促進されることが期待されます。

しかし、一方で、今回の改正では生成AIに関する議論の成果が反映されていないという指摘もあります。生成AIが急速に発展する中で、その知的財産に関する取り扱いは重要な問題となっていますが、現段階ではその対応が不十分であるという見方もあります。

このように、デジタル時代における知的財産権の保護は、常に進化し続ける社会や技術の変化に合わせて適切に調整される必要があります。今回の改正はその一環として重要な一歩であり、今後も議論と改善が続けられることが求められています。

CONTACT

入会申し込み 相談・お問い合わせ