一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

日本大学の業者選定問題:組織改革と透明性の確保

日本大学が学内の清掃や警備業務の委託先を選定する際に不適切な手続きを行っていたことが内部監査報告書で明らかになりました。この報告書は、入札手続きの怠慢や特定業者との癒着疑惑を指摘し、大学のガバナンスに深刻な問題があることを示唆しています。

以前にも、日本大学は元理事長や元理事の不正行為によって大きなスキャンダルに巻き込まれました。その後、組織のガバナンス改善を掲げ、内部監査課の設置などを行いましたが、再び同様の問題が発生しています。

このような問題を解決するためには、大学組織の根本的な改革が必要です。まず、組織文化の変革が必要です。上層部の指示に従う「上命下服」の風潮を打破し、意思決定の透明性と公正性を確保するために、組織全体での意識改革が不可欠です。指示に従うだけでなく、倫理的な判断や専門知識を持った専門家の意見を尊重する文化を醸成する必要があります。

また、内部監査体制の強化も重要です。内部監査課が独立性を持ち、適切な監査活動を行うことで、不正行為や問題点を早期に発見し、適切な対処を行うことができます。さらに、組織内部での通報制度を整備し、職員や関係者が問題を匿名で報告できる環境を整えることも重要です。

透明性と公正性を確保するためには、業者選定手続きの透明化が必要です。入札手続きや見積もり比較などの公正なプロセスを徹底し、特定業者との癒着を防止するためのルールと規制を整備する必要があります。また、適切な契約管理体制を構築し、契約内容の遵守や業者の業績評価を定期的に行うことで、適正な業者選定を実現することができます。

最後に、問題解決と改善のための透明性と責任追及が重要です。問題の発見後、速やかに関係者に対する調査を行い、適切な対処措置を講じることが不可欠です。透明性を確保し、責任ある行動を取ることで、再発防止策を構築し、信頼回復に努めることが大学組織の責務です。

総じて、日本大学が直面している業者選定問題は、組織の根本的な問題を浮き彫りにしました。組織文化の改革と透明性の確保が不可欠であり、これらの取り組みを通じて、大学が健全な経営とガバナンスを実現し、信頼を回復することが求められます。

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