一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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CFEコラム

DX推進とサイバーセキュリティー強化

そして、デジタルトランスフォーメーションのリスク管理

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業が未来を見据えてイノベーションを推進する上で重要な要素ですが、その一方でサイバーセキュリティーの脅威と隣り合わせにあります。企業がDXを進めるにあたっては、その先に待ち受けるセキュリティー上のリスクも見逃すことはできません。中外製薬の取り組みから学ぶべきポイントがあります。

セキュリティーへの取り組みは、DX戦略と並行して行われるべきです。企業がDXによるビジネスプロセスの変革を進める一方で、セキュリティーの強化も同等に重視することが必要です。中外製薬の「CHUGAI CYBER SECURITY VISION 2030」は、その典型例です。セキュリティー強化のためには、組織全体の意思決定機関を設け、定期的なモニタリングとリスク共有が不可欠です。デジタル戦略委員会やセキュリティーチームが、組織内外で発生するセキュリティー上の問題に対応するための枠組みを提供し、リスクを最小限に抑えるための方針を策定しています。

また、セキュリティー対策は単なる防御にとどまらず、積極的なリスク管理も必要です。中外製薬では、ベースラインとリスクベースのアプローチを組み合わせてセキュリティー対策を進めています。これにより、セキュリティーの底上げと柔軟なリスク対応を両立させています。また、取引先との関係も重要視されており、リスク共有や情報共有が積極的に行われています。企業は、サプライチェーン全体のセキュリティーを強化することで、自らのリスクを軽減するだけでなく、業界全体の安全性を確保することができます。

セキュリティーの強化は、企業が持続可能な成長を遂げる上で欠かせない要素です。DX推進とサイバーセキュリティーの強化を両立させることで、企業は競争力を高め、安定的な成長を実現することができます。

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